著: | 山本剛(神戸市立医療センター中央市民病院) |
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判型: | A5判 |
頁数: | 256頁 |
装丁: | カラー |
発行日: | 2020年02月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-4880-2 |
版数: | - |
付録: | 無料の電子版が付属(巻末のシリアルコードを登録すると、本書の全ページを閲覧できます) |
大反響を受け、待望の続編刊行!
●「グラム染色の見方が変わる」と大きな反響を呼んだ『グラム染色道場』の続編。
●髄液、尿、喀痰、胸水、血液、便、腹水など様々な検体におけるグラム染色の見方とピットフォールについて解説。
●感染症の診療や微生物検査に関わる方なら見逃せない一冊です。
同じグラム染色所見であっても、読む人が違えばここまで見えるものが違うのだと感嘆させられる。——忽那賢志先生「推薦のことば」より
第1章 グラム染色道場入門
第2章 喀痰、胸水
第3章 尿
第4章 血液
第5章 腹水、胆汁、生殖器
第6章 糞便
第7章 髄液
第8章 皮膚・軟部組織、その他
第1章 グラム染色道場入門
グラム染色を始める貴方に
グラム染色はじめの一歩
菌も病気も染め分けろ
形状ですぐに鑑別できるグラム陰性桿菌
菌の形状を食べ物に例えると
抗菌薬投与後の形状変化
形状変化のバリエーション
複数菌が見える場合のグラム染色の考え方
グラム染色のヒューマンエラー
グラム染色に用いる標本の厚さ
染色液の劣化
グラム染色の写真の撮り方
第2章 喀痰、胸水
ただ見るだけではないんです
これが「萌える」検査だ
喀痰中の白血球から原因菌を推測する
肺炎球菌かどうか迷う場合
コモンな症例
このように見えることもある
無理して鑑別しなくても良いと思う
知ってる知識に飛びつかない
菌が見えなくても役に立つ
急ぐ症例こそグラム染色を
喀痰のrejection criteria
もうrejectとは言わせない
良い材料が命です
グラム染色で病気の原因を探る
誤嚥性肺炎を疑われた症例
VAPのグラム染色は難しい
術後肺炎の見方
これは重症肺炎か?
悪臭を伴う胸水
やっぱりこれは無理だ
肺放線菌症
第3章 尿
やっぱりグラム染色が必要だ
尿路感染症診断のためのグラム染色①
尿路感染症診断のためのグラム染色②
尿路感染症診断のためのグラム染色③
尿路感染症診断のためのグラム染色④
え、そんなん無理やわ
カテーテル留置者ではどんな菌が出るか
カテーテル留置者の混濁尿
グラム陰性桿菌の菌種推定は本当に可能か
微生物検査室はAMR活動に欠かせない
E. faecalisとE. faeciumを分ける理由
尿路感染症で見られたKlebsiella
術後の発熱と尿路感染症
結石ないですか?
排尿時痛を伴わない尿道炎
えっ!?と思ったグラム染色
なんだ、カンジダか
第4章 血液
血液培養陽性の報告はどうするのが良いか?
120%の力で報告しています
コモンな菌だがレアな症例
血液培養からブドウ球菌が出たら
医師への報告は難しい
Aerococcusは良く間違える菌の1つです
MDS治療中の発熱
球菌に見えない連鎖球菌
重症例は待ってくれません
悪い予感
敗血症性ショック!
不明熱です、という相談
ムコイド型の肺炎球菌
経験は力なり
読めば読むほど味が出る
腸球菌のβ溶血
Corynebacteriumの同定と感受性
中心静脈カテーテルから大腸菌
感染巣を推測していますか?
主治医が知りたいこと
複数菌が確認される場合の対応
血液培養2セットで別々の菌種
これぞ極みの世界
第5章 腹水、胆汁、生殖器
十二指腸潰瘍術後の発熱
結果を急ぐのはどちらか?
急性腹膜炎の腹水
子宮留膿腫のグラム染色
A群溶連菌は怖いなぁ
ダグラス窩膿瘍のグラム染色
がん患者の微生物検査
閉塞性胆管炎の原因菌
ENBDチューブの閉塞
第6章 糞便
便のスメアを見るときは、何に注意するの?
便培養で白血球が出てくる疾患
キャンピロバクター見つけ隊
便からGNRが出たら
第7章 髄液
髄膜炎におけるグラム染色の検出感度
小児の細菌性髄膜炎でのGBS
予想外の展開
肺炎球菌の由来
第8章 皮膚・軟部組織、その他
壊死性筋膜炎の起因菌
グラム染色所見は声に出して読んでみましょう
皮下膿瘍から検出されたグラム陽性桿菌
アンテナ感度良好
どこまでコメントすべきか?
目的を持ってグラム染色は見ろ!
関節液からKlebsiella ?!
ムコイド型のA群溶連菌
小児の耳漏で見る菌
中耳炎にご用心
自分の鼻汁を染めてみた
昨年、『グラム染色道場〈肺炎診療に生かす喀痰グラム染色の見方・考え方』を出版したところ、予想をはるかにしのぐ反響があり、私、師範手前は驚きを隠せません。
前著は喀痰に限定した内容だったため、尿はないのか、血液や膿汁はいつ出すのか、と多くの問い合わせを頂きました。読者のご意見を踏まえまして、今回の続編刊行となった次第です。
グラム染色は、微生物を染めて分類することが最大の目的ですが、その副産物と言うべき白血球や、炎症反応で産生される生体物質や異物も同時に染まります。つまり、微生物と感染症に伴う生体反応そのものを同時に観察できるため、顕微鏡を通して観察された現象を組み立てて考えることで、病態把握に役立つ様々な情報を得ることができます。
これは「グラム染色は研究者の手によって改良を加えて良いものにして欲しい」という言葉を残したHans Christian Gramの意向に沿うものであると確信しております。
第二弾となる本書は、私のコダワリが強く反映されていることもあり、かなり面白いものに仕上がりました。ブログでは読めない書き下ろしも少し加えています。休憩時間や通勤電車のお供として活用して頂ければ幸いです。
2020年1月 山本 剛
下記の箇所に誤りがございました。謹んでお詫びし訂正いたします。