編著: | 山田俊幸(自治医科大学 医学部 臨床検査医学 教授) |
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編著: | 小谷和彦(自治医科大学 地域医療学センター地域医療学部門/医学部 臨床検査医学 教授) |
編著: | 岩津好隆(自治医科大学 分子病態治療研究センター抗加齢医学研究部/医学部 臨床検査医学 准教授) |
判型: | B5判 |
頁数: | 156頁 |
装丁: | 2色部分カラー |
発行日: | 2022年10月20日 |
ISBN: | 978-4-7849-6366-9 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
◆日々ルーチンのようにする臨床検査。そこから読み解ける情報はとても多い……ですが、漏れなくきっちり見られていますか?
◆本書は「検査値」のみを見て実際の対話形式でRCPCを進めています。読み進めながら、どの検査値に注目するのか? ここから病態をどう推測するのか? 最終的な診断は?……と、ぜひ一緒に考えてみてください。
◆プライマリ・ケアの現場で「この検査値おかしいぞ」と気づけるきっかけに出会う1冊です。
CASE 01 体調不良で受診した35歳男性
CASE 02 肝機能障害で紹介された45歳女性
CASE 03 発熱を呈した30歳男性
CASE 04 全身倦怠感で受診した64歳女性
CASE 05 健診結果の異常で受診した70歳女性
CASE 06 突然転倒した82歳男性
CASE 07 人間ドックで間接ビリルビン高値を示した24歳男性
CASE 08 溶血性貧血と悪性腫瘍が疑われた61歳女性
CASE 09 高血圧で初診時のスクリーニング検査で原発性アルドステロン症が疑われた39歳女性
CASE 10 主訴なしで受診した54歳女性
CASE 11 糖尿病で通院中,腎機能悪化のため受診(14カ月前血清Cr 0.80mg/dL)した60歳女性
CASE 12 糖尿病(25年前に指摘)および慢性腎臓病のために通院中の80歳男性
CASE 13 定期受診時(腎サルコイドーシスに対し,ステロイド治療中)に,何となく息苦しいと訴える60歳代女性
CASE 14 繰り返す筋肉痛のため紹介受診した37歳女性
CASE 15 10日間で急激に浮腫が進行した60歳代男性
臨床診断は医療面接,身体診察から始め,必要に応じ画像を含めた検査に進むことは勿論であるが,昨今,このプロセスの早い段階で基本的な臨床検査が行われ,評価に加わることが少なくない。患者にfirst touchするプライマリ・ケアの場面では,この基本的検査を適切に判断し,次のステップを組み立てていくことが求められる。本書を企画した目的は,プライマリ・ケアにおける臨床検査の利活用に役立つための臨床検査値の理解を提供することにある。
RCPC(reversed clinico-pathological conference)は,臨床検査成績だけの情報から患者の病態を推測するという,臨床検査(主に検体検査)の理解を推し進める教育手法である。当教室初代教授の河合忠先生により,わが国の臨床検査医学の卒前教育に初めて導入され,今日では卒前教育の枠を超えて様々な場面で利用されるようになった。教員の指導手法も多様に工夫されるようになっているが,共通したコンセプトは「基本的検査」の理解を深めることに尽きる。
RCPCは検査の読みを学習することが主眼で,診断名を導くことは副次的であると強調しているが,そうは言っても診断を推測する推理ゲーム的な楽しい側面は捨てがたい。本書は実際に行われた議論を掲載する対話形式をとっているので,そのゲーム的感覚を楽しんでもらいたい。
また,この対話形式がRCPCをコーディネートする方の参考になれば幸いである。本RCPCは編者3名がそれぞれ実施したものを寄せ集めたもので,用語の表記など統一するように努めたが,それぞれのスタイルの違いはそのままにしている。実施者やスタイルを固定しない効用もあることは申し添えておきたい。
プライマリ・ケア医だけでなく, 基本的検査に接するすべての医療関係者(たとえば健診関係者), 臨床検査を学ぶ初学者の方々に本書を広く役立てていただけたら望外の喜びである。最後に,この企画を提案いただき,実際のRCPC収録日からまとめの執筆までかなりの日数を費やしてしまった私たちの背中を暖かく後押しいただいた,日本医事新報社編集部の村上由佳様に深謝いたします。
2022年9月 編集者を代表して 山田俊幸