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Primary care note うつ病

プライマリ・ケア医のうつ病診療に専門家のエッセンスを!

定価:3,300円
(本体3,000円+税)

在庫切れです

著: 樋口輝彦(国立精神・神経センター総長)
判型: A5判
頁数: 136頁
装丁: 2色刷
発行日: 2008年02月15日
ISBN: 978-4-7849-4244-2
版数: 第2版
付録: -

患者の多くがまずプライマリ・ケア医を受診するうつ病。うつ病は現代では誰もがかかりうる疾患です。本書は,プライマリ・ケア医の目線でうつ病を診断・治療するのに必要な知識を簡潔にまとめた1冊です。第2版では新たに,治療薬の最新情報や多数の症例のほか,年代別のうつ病の特徴についても解説をくわえました。

目次

1 こんな場合にうつ病を疑う
2 症 状
3 診 断
4 身体疾患に伴ううつ病
5 うつ病の病因・病態
6 治 療
7 症 例
8 再燃・再発予防

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序文


初版が発行されたのが2004年3月なので、約4年が過ぎたことになる。この間、うつ病の問題は解決されるどころか、ますます社会問題の様相を深めているようにみえる。
自殺者が年間3万人を超えて9年の年月が経過した。自殺の原因は複雑であり、自殺の予防をうつ病対策で対応すればすむというほど単純でないことは、すでにどなたも承知のことである。しかし、自殺者の多くが、自らの身体の不調を訴えて内科をはじめ一般科を受診するという事実は重く受け止める必要がある。精神科ではなく一般科である点がポイントである。うつ病の15%前後が自殺企図あるいは未遂を経験するといわれる。また、うつ病の9割方は精神科ではなく、一般科を受診することも知られている。であれば、うつ病診療ひいては自殺予防に一般科医の果たす役割は大変大きいことになる。
最近、新聞報道された学校教師のメンタルヘルスの問題もうつ病が中心で、大きな問題になっている。教育にあたる者は精神的に健康であることが前提であることはいうまでもないが、昨今のように教育現場に蔓延するストレスは教育者のこころの健康を阻害しており、その対策は子どもたちの将来に影響しかねないので、対策が急がれねばならない。
このような状況の中で、国も本腰を入れてうつ病対策、自殺対策に取り組み始めた。自殺対策基本法を具体化するべく作定された大綱において、うつ病の早期発見・早期治療が総合対策の1つに位置づけられたこと、新健康フロンティアの中でもうつ病の早期診断と社会復帰サポートシステムが取り上げられていることはこのことを物語っている。
本書はこれからますます、うつ病診療においてその役割が重要になるプライマリ・ケア医に役立てていただくことを目的に執筆したものである。すなわち、プライマリ・ケア医の目線でうつ病を診断し、治療するのに参考となる知識を整理することを心がけたつもりである。
改訂にあたっては、症例記載を増やしたこと、ジェネレーション毎のうつ病の特徴を別途整理したこと、この間の新しい薬物治療を追加した点が主な改訂である。
本書が今後ますます一般科医を訪れることが多くなるうつ病の診療に役立てていただければ幸いである。

2008年1月 著者




うつ病は今日、大変ポピュラーな病気である。その背景には、軽症のうつ病が時代とともに増加したこと、マスメディアによる情報提供が豊富になったこと、ストレスとの関連が強いことが認識されるようになったことなどがあり、うつ病は特別な病気ではなく、誰でも罹りうる病気として社会が受け入れる流れができ上がりつつあるように思う。
うつ病患者の大半はプライマリ・ケア医をまず受診することが知られ、これは洋の東西を問わない。その割合はうつ病全体の8割とも9割ともいわれている。したがって、プライマリ・ケア医がうつ病診療の鍵を握っているといっても過言ではない。
ところがわが国のこれまでの医学教育では、将来プライマリ・ケア医になる学生や研修医に対してうつ病の診療トレーニングはほとんど行ってこなかった。うつ病の診断は今のところ臨床症状でしか行えないため、経験のない医師にとってはなかなかなじめない世界である。しかも、うつ病の多くが自律神経症状をはじめとしたさまざまな身体症状を示すので余計に診断に難渋する。内科的検査で異常がなければ内科疾患は否定できるが、このような患者の中にうつ病が紛れ込んでいることがある。
これまでにうつ病に関する書籍は多数出版されている。しかし、その多くが専門家向けに書かれており、精神医学の基礎知識なしには理解しがたいものが多い。本書はできる限り、プライマリ・ケア医の目線でうつ病を診断し、治療するのに参考となる知識を整理することを目的にした。詳しく解説することが逆に理解を困難にする場合もあるので、全体を簡潔にまとめたつもりであるが、逆に舌足らずになってしまったきらいもなきにしもあらずである。
平成16年度からは新臨床研修が開始され、精神科研修が必修になる。将来、精神科以外の科に進む研修医には是非、ここに書かれていることを身につけてもらいたいと思う。また、現役のプライマリ・ケアの先生方には診療の補助になることを願っている。
うつ病はポピュラーな病気ではあるが、決して侮ることのできない病気である。そして、他の疾患同様、早期発見と早期治療が重要な病気である。本書がこのために少しでも役立つことになれば幸いである。

2004年3月 著者

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