編集: | 日本医事新報社( ) |
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判型: | B5判 |
頁数: | 148頁 |
装丁: | 2色刷 |
発行日: | 2010年02月10日 |
ISBN: | 978-4-7849-4040-0 |
版数: | 第1版 |
付録: | - |
致死的な急性疾患から生活習慣病などの慢性疾患まで「悩んだ検査値」がどれであったか、その症例において「つまずいたときに、何を念頭に置き、何を検証していったか」、さらに「どのように対処したか」。これらは実例をもとにした、まさに「検査値の読み方の応用編」です。ジェネラリストであれば遭遇する機会のある30症例を念頭に置くことで、必ずや診断のヒントに役立つことがあると思います。
CASE01 動脈硬化症ハイリスク状態にあり,安静時にも持続する胸痛を発症した76歳女性
CASE02 ビリルビン値の上昇を伴った急性心不全の28歳男性
CASE03 かぜ症状を初発とし3日後に心筋逸脱酵素の上昇・心停止をきたした64歳男性
CASE04 息切れ,胸水,心電図の低電位差,心エコーでの心肥大,BNP高値を示した50歳代前半女性
CASE05 痙攣重積状態および発作後の失語症と右片麻痺にて入院,安静臥床中にD-ダイマー高値を示した69歳女性
CASE06 インターフェロン治療によりC型肝炎ウイルスが消失したにもかかわらず肝機能異常が遷延した66歳女性
CASE07 各種肝炎ウイルスマーカー陰性で高度肝機能異常を呈した38歳男性
CASE08 上腹部痛,黄疸,肝機能障害を呈したHBs抗原陽性の60歳代前半男性
CASE09 気管支喘息の治療中に喘息症状の増悪と好酸球増多および血清CEAとSCC高値をみた57歳男性
CASE10 近医にて脂質異常症と診断され,スタチン薬の服用を開始したが効果がみられない63歳男性
CASE11 体重減少,AST/ALT,LDHの上昇から悪性腫瘍が疑われた45歳男性
CASE12 低ナトリウム血症を繰り返し,甲状腺ホルモン薬の内服開始後に全身倦怠感,食欲不振が悪化した71歳男性
CASE13 全身浮腫を主訴に来院し,筋原性酵素異常と脂質異常症を有していた42歳男性
CASE14 上腹部痛,口渇,多尿を主訴としHbA1C正常,高血糖,尿ケトン体強陽性を示した24歳女性
CASE15 下肢痛および股関節痛により歩行困難となった低リン血症,高ALP血症を呈した30歳女性
CASE16 HbA1C値と血糖値の乖離を呈し,糖尿病境界型から糖尿病へと進展した49歳男性
CASE17 近医で慢性肝炎にて加療中,急速に腎機能が低下した79歳女性
CASE18 経皮的冠動脈形成術後,好酸球増多を伴う進行性の腎機能低下がみられた73歳男性
CASE19 大球性貧血を主とする汎血球減少,LDHとビリルビンの上昇を呈した53歳男性
CASE20 汎血球減少の進行とともにLDH,フェリチンの上昇をきたした24歳女性
CASE21 胃潰瘍の経過中に白血球増加を認めた37歳男性
CASE22 発熱後,倦怠感,皮下出血斑の出現により血小板減少症の治療中,貧血が進行し神経学的症状を呈した48歳男性
CASE23 脂質異常症の治療中にクレアチンキナーゼ高値がみられ,中止後も改善しない73歳女性
CASE24 強い炎症反応とアルカリフォスファターゼ高値を呈した77歳女性
CASE25 発熱,咽頭痛,両膝関節痛をきたし著明な高フェリチン血症を認めた35歳男性
CASE26 気管支喘息の経過中,CRP上昇および両下肢しびれ感と脱力をきたした74歳女性
CASE27 4カ月以上続く発熱と経過中に赤沈亢進・CRP高値を呈した70歳女性
CASE28 突然,幻覚症状が出現,錯乱状態となり,痙攣重積を併発した67歳女性
CASE29 意識障害により緊急入院した乳癌骨転移の60歳代女性
CASE30 腰椎圧迫骨折による腰痛の治療経過中に貧血が進行した52歳女性
本書に掲載された症例30編は、週刊『日本医事新報』誌上にて2008年5月から2年にわたって掲載され、ご好評をいただいた「日常診療スキルアップシリーズ 臨床検査値をどう読むか?─ 迅速・的確な診断のための臨床検査をめざして」の内容を再構成したものです。
昨今の診療は、ひところ言われたような「まず検査値ありき」ではなく、丁寧な病歴聴取をし、さらに絞り込んだ臨床検査(画像検査も含め)を行って総合的に診断、治療していくことが常識となっています。しかし、あえてここで(実際の症例における)検査値にスポットを当てたのは、画像検査だけではわかりにくいが、ある検査を行うことでよりその異常が浮き彫りにされてくるといったケースや、その検査値の出方に癖があるため診療時にはなかなか読み取りにくいケース等々があり、一筋縄では診断できない、もしくは検査値を読み解けない症例も多く、検査値の読み方はこういった実例の中での「読み方の知識と応用」を蓄積し念頭に置いておくことが欠かせないものであるからです。
もちろん、検査値のみでは判断できず、身体所見・生活歴などとの組み合わせで確定診断に結びついた症例も提示させていただきました。
本書では第一線で活躍されている先生方にお願いして、日々の診療の中で遭遇した症例の「検査値」のどこに悩み、それを解く鍵がどこにあり、さらにその後どのように対応し治療をしたか、加えてその道筋を追って行く中からみえてくる「診療スキルアップのための検査値の読み方のポイント」をまとめていただきました。
取り上げられた症例は、致死的な急性疾患から生活習慣病などの慢性疾患まで含まれており、その内容は幅広く、「悩んだ検査値」がどれであったか、その症例において「つまずいたときに、何を念頭に置き、何を検証していったか」、さらに「どのように対処したか」という診療の筋道も、当然のことながらすべて異なっています。これらは実例をもとにした、まさに「検査値の読み方の応用編」です。ジェネラリストであれば遭遇する機会のある30症例を念頭に置くことで、必ずや診断のヒントに役立つことがあると思います。
貴重な症例を呈示してくださった著者の方々に、深謝申し上げます。
2010年1月
日本医事新報社出版局