厚生労働省の「腎疾患対策検討会」(座長=柏原直樹 川崎医大副学長)は5月31日、慢性腎臓病(CKD)の患者のQOL維持向上を通じて、新規透析導入患者を2028年までに年間3万5000人以下に減少させる目標などを盛り込んだ報告書案を了承した。同検討会の報告書としては10年ぶりの改訂となる。厚労省は6月中にも都道府県等に報告書の内容を通知する考え。
報告書案では、CKDの早期発見・診断や重症化予防の徹底などを全体目標に掲げ、今後実施すべき対策の方向性を①普及啓発、②地域における医療連携体制の整備、③診療水準の向上、④人材育成、⑤研究開発の推進―の5本柱で打ち出している。
医療連携に関する取り組みには、日本腎臓学会、日本糖尿病学会が日本医師会監修の下でそれぞれ作成した、かかりつけ医から専門医療機関への紹介基準の普及などを挙げている。人材育成では、腎臓学会など4団体が認定する「腎臓病療養指導士」をはじめ、CKDの療養指導の基本的な知識を持つコメディカルを育成し、かかりつけ医との連携を進めるべきとした。
年間新規透析導入患者数については「2028年までに3万5000人以下にする」との数値目標を設け、「関連施策を含めた全ての対策の総和として現れる結果」と位置づけた。新規透析導入患者数の増加ペースは近年鈍化しているが、横ばい傾向が続いており、2016年は約3万9000人となっている。