厚生労働省の「医療・介護データ等の解析基盤に関する有識者会議」は12日、国が保有するレセプト情報・特定健診等情報データベース(NDB)と介護保険総合データベース(介護DB)を連結して第三者に提供する仕組みを制度化するため、法定化の検討を国に求める中間報告書を取りまとめた。中間報告書を踏まえ厚労省は、NDBの根拠法である高齢者医療確保法と、介護DBの根拠法である介護保険法の改正案を来年の通常国会に提出する方針。
昨年閣議決定された「骨太の方針2017」には、2020年度までに「健康・医療・介護のビッグデータを連結し、医療機関や保険者、研究者、民間等が活用できるようにする」との方針が盛り込まれた。このため同会議は、保健医療分野の公的データベースの解析基盤構築に向けた法的・技術的論点について整理することを目的に今年5月に設置された。医療保険と介護保険のレセプトデータ等を悉皆的に格納する匿名のデータベースという共通性を有するNDBと介護DBの連結解析について先行して議論し、中間報告書を取りまとめた。
中間報告書は、現行法におけるNDBと介護DBの収集・利用目的に言及。第三者提供は法律上規定されておらず、ガイドラインによって提供の範囲を定めていることから、NDBと介護DBの連結解析を契機として、両データベースの収集・利用目的について法の規定を整備する必要性を指摘。さらに、幅広い主体による公益目的での利用を図るため、「第三者提供の枠組みを制度化すべき」と求めた。その具体化に向けては「個々の第三者提供の申出に係る利用目的・利用内容の個別審査や成果の公表、目的外利用の禁止や不適切事案への対応等の適合性確保のための仕組みについて、法定化に向けた検討を進めるべき」と要請した。
同会議は今後、保健医療分野の他の公的データベース(DPCデータベース、全国がん登録データベース、指定難病・小児慢性特定疾病データベース、MID-NET)との関係についても整理し、秋頃に最終報告書を取りまとめる予定。