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【他科への手紙】循環器内科→一般内科(総合内科)

No.4917 (2018年07月21日発行) P.55

阿部幸雄 (大阪市立総合医療センター循環器内科副部長)

登録日: 2018-07-18

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  • いつもお世話になっております。さて当院では、年間約1万件の成人経胸壁心エコー図検査を施行していますが、偶然に重症の大動脈弁狭窄症(AS)が発見されることがあります。本人に聞いてみれば息切れ等の症状があり、あわてて精査および治療に向かうということが決して稀ではありません。

    現代のASは加齢性がほとんどで社会の高齢化に伴いどんどん増えています。重症例、特に狭心症や失神、心不全を伴う例では、生命予後が急速に悪化するので、弁膜症ガイドラインにおいても外科手術の絶対適応(クラスⅠ推奨)であるとされています。重症AS例では有症状でなくても心イベントが多いという報告もあります。

    しかし驚くことに、重症AS例の多くで手術がされていません。欧米の報告では40%以上においてです。見逃されたまま高齢となり、あるいは非心臓疾患が悪化し、何らかの契機に発見された頃には外科手術の適応ではなくなっているというようなことが非常に多いのです。今日では外科手術より低侵襲な経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)がどんどん普及していますので、TAVIを適用することで不適切に手術を受けていない患者を減らすことが可能です。しかし、ASが高齢になって進行するまで見逃されている事例がまだまだ多いのが現状です。

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