厚生労働省は29日に発表した2019年度税制改正要望に、訪日外国人患者の増加に対応するための税制措置として、社会医療法人等の認定要件の見直しを盛り込んだ。保険診療と同一の基準で請求することとされている外国人診療費について、実際の費用に見合った請求ができるよう変更を求める。
要件見直しの要望範囲に含まれるのは、社会医療法人、認定医療法人、医師会、公益法人、厚生連など、地域医療で準公的な役割を担う医療機関の開設主体。
外国人の診療では、医療通訳や多言語による案内、診療の長時間化など、通常の診療に比べて医療機関にかかる負担が大きい。外国人に対する医療は自費診療であり、通常は価格設定に制限はない。しかし、現行の税制では、優遇措置を受ける社会医療法人などの認定要件として、自費診療でも保険診療と同一の基準で計算した額を請求することを定めている。
医療にかかる消費税問題の抜本解決に向けては、個別の医療機関の補塡の過不足について「新たな措置を講ずる」との要望が盛り込まれた。控除対象外消費税を巡っては、厚労省の過去の調査にミスが発覚。7月に公表された再調査により、消費増税対応を行った2014年度診療報酬改定後も病院を中心に補塡不足が続いていたことが判明し、医療機関の種類などによって補塡状況にバラツキがあることも改めて示された。
厚労省は「新たな措置」の具体的な方向性は「まだ定まっていない」としつつ、「マクロの状況だけでなく、個々の医療機関の補塡不足も念頭に置きつつ議論を進めたい」としている。今後、医療団体の要望も踏まえながら財務省などとの調整が進められる見通しだ。