三師会(日本医師会、日本歯科医師会、日本薬剤師会)と四病院団体協議会が29日、合同会見を開き、医療機関における控除対象外消費税問題の抜本解決に向け、税制上の「新たな仕組み」の創設を提言した。 新たな仕組みは、現行の診療報酬による補塡を大前提として維持しつつ、個別の医療機関に生じる補塡の過不足に対応するもの。具体的には、個別の医療機関ごとに、診療報酬本体に含まれる消費税補塡相当額(医薬品・特定保険医療材料を除く)と自院の控除対象外仕入れ税額を比較し、補塡の過不足を申告する。
適用対象となるのは、消費税と所得税を実額計算で申告している医療機関。小規模医療機関のうち、①消費税の免税事業者(課税売上年間1000万円以下)、②消費税の簡易課税事業者(同5000万円以下)、③所得税の概算経費特例(四段階制)の利用事業者―のいずれかである場合は対象外とし、引き続き診療報酬による補塡で対応する。日医の中川俊男副会長によると、診療所の9割以上は対象外になる見込みだという。
診療報酬による補塡を巡っては、医療機関の種類などによって大きなバラツキが生じている。提言では、消費税率10%への引上げ時にバラツキの丁寧な検証と是正を求めており、その後の診療報酬改定でも必要に応じて検証・是正を重ねていくべきとしている。
日医の横倉義武会長は、提言について「医療界の望む姿が凝縮されている」と強調。年末の与党税制改正大綱の策定に向け、「医療界が一丸となって厚生労働省、財務省、自民党などへの要望活動を展開していく」とした。申告に基づき医療機関が還付を受ける場合の財源の確保などが今後の焦点となりそうだ。