東京医大が入試で女子や多浪生に対し不正な得点操作を行っていた問題を受け、日本医学会連合(門田守人会長)と日本学術会議幹事会(山極壽一会長)は14日、それぞれ声明を発表した。
医学会連合の声明では、教育の機会均等と公正性を著しく損ない、受験生の努力を踏みにじり、医学・医療分野で活躍するチャンスを入口から奪う行為だとして、「容認することができません」と痛烈に批判。女性医師が妊娠・出産・育児を経験しながら活躍し続けられるよう、就労支援環境の整備や医師全体の働き方の抜本的な見直しといった対策が必要だとした。
医学会連合は、女性の活躍の指標に学会活動があるとし、医学会連合が加盟学会に対して実施したアンケート調査の結果を公表。それによると、総会員数に占める女性割合は、学会平均で23%、役員の女性比率はわずか8%だったという。結果を踏まえ医学会連合は、「女性に活躍の機会が十分に与えられてこなかった」とし、医学会連合も真摯に反省する必要があるとの考えを示した。
学術会議幹事会の声明では、文部科学省による医学部入試の緊急調査の対象となった大学に対し、要請された調査範囲にとどまらない徹底的な調査の実施を求めた。具体的には、論文・面接を含めた全体的な入試の検証の必要性を指摘。無意識な性差別に基づく質問や評価があったかなど評価の質にも踏み込むべきだとした。また、大学や学協会に対しては、ライフイベントへの対応を含めたキャリア形成支援、復職支援の充実も求めた。
その上で、医学部医学科入試結果の性別不均衡や医師国家試験合格者の女性比率停滞について学術会議も検証を怠ってきたとして、「真摯に反省しなければならない」と明記した。
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