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脳梗塞の緊急血管内治療:2017年ガイドライン追補

No.4929 (2018年10月13日発行) P.53

藤堂謙一 (大阪大学神経内科)

望月秀樹 (大阪大学神経内科教授)

登録日: 2018-10-11

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【直ちに緊急血栓回収療法を行い,少しでも早く再開通を獲得することを推奨】

脳梗塞の超急性期治療として,2005年にtPA静注療法が承認された。「最終健常確認から3時間以内」の治療適応は,12年に「4.5時間」に拡大された。ただし,投与までの時間が早いほど転帰が良好であることが強調された。

07年に,血栓回収デバイスを用いた緊急血管内治療による再開通成功例は,不成功例に比べて転帰良好であることが示された。10年に同デバイスが承認された後,血栓吸引デバイスやステント型血栓回収デバイスが順次開発・承認された。再開通成功例が不成功例に比べて転帰良好であることは示されたが,緊急血栓回収療法を実施すること自体の有効性は示されていなかった。

15年に,ステント型血栓回収デバイスによる緊急血管内治療実施例の転帰が非実施例に比べ良好であることが相次いで示された。研究ごとに患者対象は異なるが,6~12時間以内に緊急血栓回収療法を実施した症例が非実施症例に比べて転帰良好であることが示された。

わが国の『脳卒中治療ガイドライン2015』は17年に追補版が発表された1)。その中で,広範な虚血所見がないことを確認し,tPA静注療法適応例には静注を開始すること,造影CTまたはMRAで閉塞血管を確認し,直ちに緊急血栓回収療法を行い,少しでも早く治療を開始し再開通を獲得することが推奨された。

【文献】

1) 日本脳卒中学会脳卒中ガイドライン[追補2017]委員会, 編:脳卒中治療ガイドライン2015[追補2017]. 協和企画,2017, p70-2.

【解説】

藤堂謙一,望月秀樹 大阪大学神経内科 *教授

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