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病原体接近遭遇STSTAE[Dr.徳田の診断推論講座(5)]

No.4753 (2015年05月30日発行) P.38

徳田安春 (地域医療機能推進機構[JCHO]本部顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

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  • 日常診療での診断のうち7割は病歴で可能である。しかし,それは病歴聴取をうまく行うことが前提である。今回は,感染症を疑う患者での病原体との接近遭遇をチェックするリストであるSTSTAEが登場する。では,今回の症例をみてみよう。



    急性熱性疾患(acute febrile illness)である。急性熱性疾患では,まず感染症を考える。ここで,悪寒戦慄があると,菌血症の可能性が約10倍になる。悪寒を訴える患者をみたら,悪寒の「程度」に注意して問診を取るとよい(表1)。


    悪寒戦慄では,あまりに悪寒がひどく,患者自身が体の震えを止めることができないほどである。「患者が悪寒戦慄を訴えたら,担当医も戦慄を感じて対応すべき」と,前・沖縄県立中部病院内科部長の喜舎場朝和氏が述べたほど重要な病歴なのである1)
    では,感染症の原因である病原体をどのように特定するか? もちろん,血液培養(最低でも2セット),各種体液の培養とグラム染色,血清学的検査,PCR検査,などはいずれも重要である。しかし,やはり病歴も重要。検査ではミスリードされることもある。
    バイタルサインで注目すべきは「比較的徐脈」であろう。39℃以上で脈拍110/分未満がその定義である。感染症では,結核やリステリア,リケッチアなどの「細胞内寄生病原体」を考える。感染症以外では,薬剤熱,膠原病,腫瘍熱を考える。
    今回の症例のように,「生来健康の若年者」では,特別な病原体との接近遭遇(close encounter)を聞き出せるとよい。映画『未知との遭遇』(Steven Spielberg監督,1977年)の原タイトルである「第三種接近遭遇」(Close Encounters of the Third Kind)を病歴でとらえることが重要なのだ。そこで,チェックリストとして役に立つSTSTAEを紹介しよう(表2)。

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