【質問者】
漆谷 真 滋賀医科大学内科学講座脳神経内科教授
【筋電図とエコーによる線維束性収縮電位の所見が感度を高める】
一昔前には夢であったALSの根本治療も現実味を帯びてきました。進行を止める,あるいは緩徐にできる薬が手に入ったとき,最も必要なのは早期診断です。しばしば遭遇する早期診断困難例は,進行性の球症状があるが診察時点では四肢はまったく正常という場合や,手の筋萎縮は少しあるが下肢は問題なく反射は正常,といった症例です。上位運動ニューロン障害は,腱反射の亢進などの臨床所見が唯一の確実な判定手段ですが,下位運動ニューロンについては,筋電図がきわめて有用な診断ツールになります。ALSでは,筋萎縮や脱力が明らかになるかなり前から運動ニューロンの変性は始まっており,筋電図では変性初期の変化をとらえることができるからです。
残り851文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する