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下痢と便秘 [Dr.徳田の診断推論講座(13)]

No.4761 (2015年07月25日発行) P.34

徳田安春 (地域医療機能推進機構[JCHO]本部顧問)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-15

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  • 下痢は非常によくみられる症状である。世界的にみると,10億人を超える人々が年に1回以上,急性下痢症にかかっており,途上国において,下痢は主要な死亡原因になっている。4週間以上続く下痢は「慢性下痢」と呼ばれ,QOLを低下させ,全身を消耗させることもある。
    便秘も頻度の高い症状であり,下剤を常用する高齢者なども多いが,病的な便秘では重篤な疾患が原因となっていることもあるので,注意を要する。では,今回の症例をみてみよう。

    下痢の定義

    下痢の定義は,「異常に水分の多い便または水様便が何度も排出されること」である。量的には,1日に200gを超える便がある場合とされる。持続期間によって次のように分類される。
    ・2週間未満:急性
    ・2~4週間:持続性
    ・1カ月を超える期間:慢性
    下痢と区別すべきものに次のようなものがある。
    ・‌偽性下痢:少量便を頻回に排出。便意促迫と関連がある。疾患としては過敏性腸症候群,直腸炎。
    ・便失禁:不随意的な便排出。神経筋疾患,直腸肛門の解剖学的異常による。
    ・‌便栓:便が腸管に溜まり持続的に流れ出る。直腸診で診断可能。寝たきりの高齢者にみられる。

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