経済産業省商務・サービス政策統括調整官と厚生労働省医政局統括調整官を併任する江崎禎英氏は25日、都内で開かれたシンポジウム(主催:医療経済フォーラム・ジャパン)で講演し、「予防と進行抑制を基本とする健康・医療サービスが求められる」と述べた。
講演で江崎氏は「人生100年時代、(還暦後の)“2周目の人生”を健康に楽しく生きるモデルを作らないまま、医療と介護で受け止めようとするから、費用が増えて大変だ、という話になる」と強調。今後の医療・介護のあり方について、「誰かに何かをしてもらう」モデルから「まずは自分で取り組む」モデルへの転換を訴えた。
医療については、感染症や遺伝性疾患、一部のがんなどの外因性疾患に対しては、安全で奏効率の高い医薬品を開発し、標準治療で根治を目指す従来型のアプローチが必要になるとした。一方、多数を占める内因性疾患(生活習慣病、老化関連)に対しては、病名が付く前に、生活・活動量のデータを基に早期発見し、食事や運動を含む生活指導を行うアプローチを展開すべきとし、患者にも治療への主体的な関与が求められるとした。
ただし、江崎氏は、現行の公的保険制度の制約として「医療は予防に対する効果的なサービスを提供できず、介護は『生活支援』が中心でサービス提供が目的化している面がある」と指摘。高齢者が主体的に“やりたいこと”に参画し、最期まで存在意義を感じられる支援を実現するには「公的保険だけでは限界がある」と述べ、民間保険と組み合わせて多様なニーズに応える「ハイブリッド」のサービスを創出すべきとの考えを示した。