腹部膨満は慢性的なものでは肥満による脂肪蓄積があるが,急性に出現した場合,腸閉塞や腹水貯留のことがあり,重篤な疾患を考慮すべきである。今回の症例をみてみよう。
腹部膨満の原因は様々であるが,簡単な記憶法に6Fがある(表1)。
腹部膨満は腹部の張った感じで気づくことが多いが,ベルトや衣服のサイズが合わなくなったことで気づくこともある。腹痛を伴うときはまず,消化管疾患〔腸閉塞(intestinal obstruction)など〕,腹腔内感染症(膿瘍など),非感染性炎症(膵炎など),を考える。大量腹水貯留のときは,臍ヘルニアや鼠径ヘルニアを合併していることがある。また,横隔膜を上方に圧迫することにより吸気を制限し,呼吸困難を感じることもある。
残り2,258文字あります
会員登録頂くことで利用範囲が広がります。 » 会員登録する