子連れ大歓迎! エコーを使って運動器を診たい女性医師集まれ!―。こんなコンセプトの女性医師限定の運動器超音波診療のセミナー「E-Girls project」(主催:ソニックジャパン社、協力:コニカミノルタジャパン社、アルケア社)が3日、都内で初めて開かれた。35名の女性医師が講義と実技を通して運動器超音波診療を学んだ。
セミナーを企画した中島祐子氏(広島大運動器超音波医学講座)は冒頭の挨拶で、「皆が子どもを温かく見守り、子どもが静かにしなくていいセミナーにしたかった」と述べ、参加医師のみならず、スタッフも子連れで参加したことを説明。「参加者、子ども、スタッフ、患者さん、皆に優しいプロジェクトにしたい」と述べ、E-Girls projectの発展に意欲を示した。
講演では、笹原潤氏(帝京大スポーツ医科学センター)が運動器疾患の超音波診断について解説。笹原氏は、「1600例の捻挫を詳細に調査した研究では、軟部組織損傷が9割に上ったが、これはレントゲンでは診断できない。捻挫の2~4割は症状が遺残するとの報告があるので、まずはしっかりエコーで検査できるようになることが大事」と指摘した。さらに、レントゲン検査によって骨折なしと診断された患者を超音波診断装置で検査したところ、足関節外果骨折であることが分かった症例などを紹介し、「エコーは骨折の診断に不向きと思われがちだが、微細な所見を見逃さないために、まずエコーを当てることが必要」と述べ、超音波診断装置の有用性を説明した。
宮武和馬氏(横浜市大運動器病態学教室)は、超音波ガイド下で結合組織に生理食塩水などを注射して痛みを取る新しい治療法「ハイドロリリース(hydro-release:HR)」について講義。宮武氏は「我々は末梢神経にターゲットを絞って生理食塩水を注射している」と説明し、著効した症例を紹介。「まだまだ分からないことは多い」としながらも、HRの研究を推進する考えを強調した。