No.5279 (2025年06月28日発行) P.35
加藤高明 (さくら路クリニック院長)
加藤 実 (春日部市立医療センターペインクリニック内科主任部長)
登録日: 2025-07-01
〔要旨〕トリガーポイント注射の手技を応用し,末梢神経の走行経路と解剖学的特徴を意識して,穿刺部位を決定し,末梢神経周囲への局所麻酔薬注入により末梢神経の走行経路に該当する部位の痛みの改善が得られる,新しい神経ブロック注射を考案し,「筋膜孔神経ブロック注射」と名づけた。
筋膜孔神経ブロック注射は,触知で皮膚が凹む部位(圧迫陥凹部)から筋膜孔(筋膜間を走行する末梢神経が皮下に出る際に貫通する筋膜の穴)に注射針を刺入して,その深層にある神経束叢周囲に局所麻酔薬を注入し,神経束叢から分枝する末梢神経に沿って局所麻酔薬が拡がることによって,広範囲の末梢神経を神経ブロックする手技である。筋膜孔神経ブロック注射後,超音波検査で筋膜間の末梢神経に沿った局所麻酔薬の拡がりを確認し,この末梢神経に関連する部位の痛みが改善したことから,末梢神経が関与する痛みに対する新たな神経ブロック注射の可能性が考えられた。
筋膜孔神経ブロック注射のうち,頸部〔第1胸椎の棘突起と第2胸椎の棘突起の真ん中より,頸部の弯曲に沿って鎖骨中線に向けて線を引き,最長筋と腸肋筋の筋間と交差する部位〕を刺入部とする手技を紹介し,刺入部位の決定,刺入針の進め方と留意点,局所麻酔薬の注入方法について各種画像を用いて解説する。
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