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Therapeutic Drug Monitoring(TDM)の適応(平成30年度特定薬剤治療管理料)

No.4936 (2018年12月01日発行) P.55

家入一郎 (九州大学薬学研究院薬物動態学教授)

登録日: 2018-12-04

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【分子標的治療薬が加わるTDMによる個別適正化使用】

血中濃度を測定し,体内動態解析を通して薬剤の個別適正化使用に貢献するTherapeutic Drug Monitoring(TDM)に分子標的治療薬が加わり,特定薬剤治療管理料で算定可能である。

特定薬剤治療管理料1には,ジギタリス製剤,抗てんかん薬,テオフィリン製剤,不整脈用薬,ハロペリドールやブロムペリドール製剤,リチウム製剤,バルプロ酸やカルバマゼピン(躁うつ病など),免疫抑制薬(臓器移植),シクロスポリン(再生不良性貧血,尋常性乾癬など),サリチル酸系製剤,メトトレキサート,タクロリムス水和物(全身型重症筋無力症など),アミノ配糖体・グリコペプチド系抗菌薬,トリアゾール系抗真菌薬,バルプロ酸(片頭痛)がある。

さらに,分子標的治療薬が加わる〔イマチニブ,エベロリムス(結節性硬化症に伴う上衣下巨細胞性星細胞腫),シロリムス製剤(リンパ脈管筋腫症),スニチニブ(腎細胞癌)〕。現在,多くの施設では,LC/MS/MSによる高感度で,一斉に分析できる測定系を確立している。一部には目標とするトラフ血中濃度が設定されており,イマチニブ(1μg/mL以上),エベロリムス(5~15ng/mL),シロリムス(15ng/mL以下)がある。いずれの薬剤の体内動態も様々な要因で変化する。食事の内容や時間(すべて),腎機能(イマチニブ)があるが,何よりもこれらの薬剤がCYP3A4/5で代謝され,多くがP-糖蛋白質により吸収,分布,排泄されることがある。薬物間相互作用,嗜好品で体内動態が変化するので,TDMによる管理は必須である。

【解説】

家入一郎 九州大学薬学研究院薬物動態学教授

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