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封入体筋炎における自己抗体の意義は?

No.4940 (2018年12月29日発行) P.54

青木正志 (東北大学大学院医学系研究科 神経・神経内科学教授)

山下 賢 (熊本大学大学院生命科学研究部神経内科学准教授)

登録日: 2018-12-31

最終更新日: 2018-12-20

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  • 封入体筋炎は,高齢者の炎症性筋疾患として徐々に増加していると言われていますが,自己抗体の意義はどのように理解されていますか。熊本大学・山下 賢先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    青木正志 東北大学大学院医学系研究科 神経・神経内科学教授


    【回答】

    【抗NT5C1A抗体は特異度の高さから封入体筋炎の診断に有用である】

    封入体筋炎(inclusion body myositis:IB M)は,高齢者に好発する難治性筋疾患です。わが国では比較的稀な疾患と考えられてきましたが,厚生労働省難治性疾患政策研究事業「IB M」班の調査によって,わが国に1000〜1500人の患者が存在し,欧米に匹敵する有病率(9.83人/100万人)であることが明らかになりました1)。本疾患の典型的症状として,手指屈筋群(特に深指屈筋)や大腿四頭筋の筋力低下と筋萎縮が左右非対称性に出現し,緩徐に進行します。手指屈筋群の障害により握力が低下し手指の微細運動が困難となり,また大腿四頭筋の障害により階段昇降や床からの起立困難,頻回の転倒を呈するようになります。病状の進行に伴って半数以上の患者では嚥下障害を合併します。

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