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【人】猪原匡史さん「認知機能の低下を抑える薬は夢ではありません」

No.4756 (2015年06月20日発行) P.18

猪原匡史 ( 国立循環器病研究センター病院脳神経内科医長)

登録日: 2016-09-08

最終更新日: 2017-02-17

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  • 猪原匡史さん(Ihara Masafumi)

    国立循環器病研究センター病院脳神経内科医長

    1970年奈良県生まれ。95年京大卒。京大病院、西神戸医療センター勤務を経て、99年京大大学院。2003年博士号取得。英国留学、先端医療研究センターなどを経て、2013年より現職。

    「認知機能の低下を抑える薬は夢ではありません」

    5月末、脳梗塞の再発予防に使われる抗血小板薬シロスタゾールを用いた軽度認知障害(MCI)に対する医師主導治験に着手した。

    治験では、200人の参加者を、シロスタゾールを投与する群とプラセボ群に分け、96週間の観察期間の前後で認知機能の低下の抑制効果を評価、薬剤としての有効性を確認する。猪原さんは研究代表として、10以上の参加施設間の連絡や実施方法の調整で指揮をとる。

    認知症の治療薬は、これまで世界で100種類以上開発されてきたが、いずれも失敗に終わっている。しかし、猪原さんは「アルツハイマー病は神経変性だけでなく血管性疾患の側面も大きい。認知症の根治は無理でも、血管に作用しMCIから認知症への進行を食い止める薬なら、夢ではありません」と話す。

    猪原さんが2012年、脳梗塞のモデルマウスに出血を助長するはずのシロスタゾールを投与すると、出血量は予想に反して減少した。この結果に驚き、血管のリスク管理が臨床上重要となるアルツハイマー病への効果を期待し、マウスに投与すると、アミロイドβを血管に排泄する作用が確認された。その後実施したMCI患者を対象にした後方視的研究では、シロスタゾールを服用していた患者で認知機能の低下が抑制されたことを確認。

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