抗ヒスタミン薬の鎮静作用は血液-脳関門の移行性によって決定される
非鎮静性抗ヒスタミン薬はヒスタミンH1受容体選択性が高い
非鎮静性抗ヒスタミン薬の作用時間の長さは,薬物動態だけではなく受容体結合親和性からも説明できる
1910年,Sir Henry Dale(1936年ノーベル生理学・医学賞受賞者)が生理活性アミンであるヒスタミン(イミダゾールエチルアミン)を単離し,腸管平滑筋収縮作用と血管拡張作用を有することを発見して以来,これまでの多数の研究によりヒスタミンが様々な病態や疾患と関わっていることが明らかになった1)2)。
ヒスタミンの血管拡張作用と血管透過性亢進作用が,蕁麻疹やアナフィラキシー反応と関連していることは,1920年代には明らかになっていたが3),炎症メディエーターとしてのヒスタミンをターゲットにした治療法の開発は,1937年,Daniel Bovet(1957年ノーベル生理学・医学賞受賞者)が初のヒスタミンH1受容体拮抗薬(抗ヒスタミン薬)を合成するまで,10年以上待たねばならなかった4)。
1942年,抗ヒスタミン薬は初めて臨床で使用され,さらには1944年にpyrilamineが合成されてから,花粉症やアレルギー性鼻炎,蕁麻疹などのアレルギー疾患の治療に広く用いられるようになった5)。