日本医学会連合(門田守人会長)は14日、厚生労働省の検討会で進む勤務医の働き方改革の議論に関して、医療の質・安全の向上と勤務医の健康確保を両立した上で、医療提供体制の抜本改革への着手を求める声明を発表した。労働時間の上限設定だけでは医師の働き方改革は実現できないとし、短期的に実践可能な労働時間短縮策として、フィジシャンアシスタント(PA)や特定看護師の導入による医師の業務の移管を提言している。
日本の医療の現状を経済協力開発機構(OECD)加盟国の平均と比較すると、医師数は最低レベルにある一方で、外来受診患者数と病床数は多い。このことから、医学会連合の声明では「わが国の勤務医の過重労働は当然の結果とも言える」と見なしている。ただし、単純な医師数の増員は過重労働の根本的な解決策にはなりえず、地域・診療科偏在の解消が不可欠との見方を示している。
PAの育成や職員の採用等によるタスクシフティング(業務の移管)は労働時間の短縮に効果的であるとしつつ、実現に当たっては「診療報酬の改定など全国民的な課題としての財政対策が必須である」としている。
そのほかの医師の長時間労働是正策としては、▶患者の受療行動の見直し、▶勤務間インターバルの設定、▶夜間・休日の診療の減少、▶主治医制に代わるグループ診療性の導入―などを挙げ、積極的な検討を求めている。