株式会社日本医事新報社 株式会社日本医事新報社

CLOSE

(2)ステロイド性骨粗鬆症を防ぐには[特集:ステロイドの副作用を正しく知って正しく使う]

No.4949 (2019年03月02日発行) P.34

宗圓 聰 (近畿大学医学部奈良病院整形外科・リウマチ科教授)

登録日: 2019-03-04

最終更新日: 2019-02-27

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ステロイド性骨粗鬆症に対しては一次予防が重要である

現行の「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン」では,第一選択薬がアレンドロン酸,リセドロン酸,代替え治療薬が遺伝子組換えテリパラチド,イバンドロン酸,アルファカルシドール,カルシトリオール,とされている

実薬対照試験での骨密度増加効果から,ゾレドロン酸とデノスマブも候補薬として挙げられる

ステロイド性骨粗鬆症の最大の特徴は,ステロイド投与後早期に骨密度減少と骨折リスクが増加することである

閉経後骨粗鬆症に比べてより高い骨密度で骨折を引き起こすことも重要な特徴である

骨粗鬆症治療薬による骨折抑制効果はステロイド投与開始から3カ月以内の介入が有効である

1. ステロイド性骨粗鬆症を防ぐには

骨粗鬆症および関連骨折は,ステロイドの副作用のうちで最も頻度が高く,続発性骨粗鬆症の中で最も頻度が高いのもステロイド性骨粗鬆症である。長期ステロイド治療を受けている患者の30~50%に骨折が起こるとされ,骨折リスクの観点からはステロイド投与量の安全域はなく,投与後3~6カ月で骨折リスクはピークに達する。ステロイド開始後の骨量減少率は初めの数カ月間は8~12%と高く,その後は2~4%/年の割合で減少する。以上より,積極的な骨折予防のための介入,特に一次予防が望まれる。

2. ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン(図1)1)2)

「ステロイド性骨粗鬆症の管理と治療ガイドライン2014年改訂版」によると経口ステロイドを3カ月以上使用中,あるいは使用予定の患者については一般的指導を行った上で危険因子の評価を行い,スコアが3点以上の場合は薬物治療を行い,3点未満の場合は経過観察を行うとされた。つまり,スコアが3点以上の例に対しては,経口ステロイドを3カ月以上使用予定の場合に薬物治療対象となるため,いわゆる一次予防を実施することになる。そのため,薬剤の有効性と推奨に関して一次予防のエビデンスの存在が重視された。

 

プレミアム会員向けコンテンツです(期間限定で無料会員も閲覧可)
→ログインした状態で続きを読む

関連記事・論文

もっと見る

関連書籍

もっと見る

関連求人情報

もっと見る

関連物件情報

もっと見る

page top