【産業医の専門性と主体的な活動が求められている】
2017年3月28日に決定された働き方改革実行計画に基づき,「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律(18年7月6日公布)」が制定された。この中で「産業医・産業保健機能の強化」が掲げられ,改正労働安全衛生法が19年4月1日に施行される。
具体的には,事業者の責務として,産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を提供しなければならないこと(第13条第4項),産業医による労働者の健康管理に関する「勧告」の内容等を衛生委員会に報告すること(第13条第6項),労働者に対する健康相談の体制整備(第13条の3)や,産業医の業務内容の掲示など労働者への周知(第101条第2項),労働者の健康情報の適正な取り扱いルールの推進(第104条第1項,同第2項)等が挙げられる。
産業医に対しても,産業医学の専門知識に基づいて誠実にその職務を行う責務が定められた(第13条第3項)。また,従業員数50人未満で産業医選任義務のない事業者でも,これらの施策は努力義務として明文化されている。
従来の職業性疾病の予防に加え,メンタルヘルス等の作業関連疾患予防や過労死等防止対策,疾病と仕事の両立支援対策等の新たな課題に対し,企業が労働者の健康管理を強化し実態のある活動を産業医に行わせることが求められている。産業医の必要性はますます高まっている。
【参考】
▶ 石原大徳:総合健診. 2018;45(2):328-30.
【解説】
佐藤博貴,上島通浩* 名古屋市立大学環境労働衛生学 *教授