経皮的に本体と除細動リードが植込まれ,本体とリードに付属している2つの電極の間で,3種類の双極誘導が記録される。頻脈性不整脈を検出すると本体と除細動リードの間で除細動を行う
頻脈の検出には,経静脈ICDと同様に,VT zone(conditional zone)の設定が可能であり,そのzoneでは上室頻拍を除外するためのアルゴリズムが働く
体格の小さい日本人にとっては,経静脈ICDと比較して本体がやや大きい印象があるが,前鋸筋と広背筋の間に植込むことにより,皮膚への負担を減らし,ほとんどの症例で問題なく植込むことができる
リードはトネリングを使用し,3 incision methodで傍胸骨に植込まれるが,胸骨上部を切開しない,2 incision methodでもリードの植込みは可能である
植込み型除細動器(implantable cardioverter defibrillator:ICD)は,一次予防,二次予防ともに突然死予防に有用であり,広く使用されるようになっている。しかし,経静脈的に心臓内にリードを挿入する必要があり,それに伴う合併症,たとえば,気胸,出血,心タンポナーデ,血流感染などが問題となっていた。また,遠隔期にICDリードは年2%程度の損傷が報告されており1),こちらもfollowする上で大きな問題となってきた。その問題を克服するべく開発されたのが完全皮下植込み型除細動器(subcutaneous ICD:S-ICD)である。本体とICDリードともに皮下に植込まれる。心電図で脈拍と心電波形を監視する必要があるが,リードの遠位電極,近位電極,本体の3点が電極として使用される。それぞれの電極間で3種類の双極誘導が記録され,心窩部から本体をprimary誘導,先端から本体をsecondary誘導,先端から心窩部をalternate誘導と呼んでいる(図1)。