厚生労働省は13日、薬事・食品衛生審議会の食中毒部会で、2018年における食中毒の発生状況を報告した。事件数は1330件(前年比316件増)、患者数は1万7282人(同818人増)で、いずれも前年より微増した。アニサキスによる食中毒患者の報告数が前年の約2倍に当たる478人に上ったものの、明確な理由は分かっていない。
アニサキスによる食中毒患者の報告数は16年が126人、17年が242人、18年が478人となっており、急増傾向にある。18年は4~5月に報告数の“山”があり、鰹の刺身やたたきを原因食品とする事案が多かった。アニサキスによる食中毒の原因食品は例年、鯖や鰯などの青魚が中心で、鰹が上位に来るのは珍しい。
アニサキスの報告数が増加した要因としては、臨床医の間で食品衛生法に基づく届出制度への認知が高まったことなどが考えられるが、厚労省は「医療機関からの報告が増えたというだけでは説明がつかず、原因の確認を進めている」としている。19年に入ってからの報告数は、3月現在では例年に比べて特に多いとは言えないという。
「食中毒統計調査」によると、18年中の病因物質別の患者数は、ノロウイルスが8475人(49.0%)と約半数を占め、次いでウェルシュ菌が2319人(13.4%)、カンピロバクターが1995人(11.5%)などと続く。腸管出血性大腸菌の患者数は456人(2.6%)だった。