国立感染症研究所は12日、新規抗インフルエンザ薬「ゾフルーザ」(一般名:バロキサビル マルボキシル)に対する耐性変異ウイルスが、同薬の投与を受けていない患者から検出されたと発表した。
感染研によると、2018年11月~19年2月に採取されたA(H3N2)の検体を解析したところ、検体採取前時点でバロキサビル未投与の患者3人(生後8カ月、5歳、12歳)から「I38T」という耐性変異を持つウイルスが3株検出された。I38T変異はバロキサビル投与に起因するものと考えられており、ウイルスのバロキサビル感受性の低下に関与することが明らかになっている。3人の未投与患者の周囲には同薬を投与された家族などが確認されており、感染研は「投与患者から感染伝播した可能性が示唆される」と分析している。
A(H3N2)におけるバロキサビル耐性率は、臨床試験では12歳以上で9.7%、12歳未満で23.4%と、ノイラミニダーゼ阻害薬に比べ高いことが指摘されている。耐性変異ウイルスが検出された患者ではウイルス力価の再上昇が認められ、感受性ウイルスが検出された患者より罹病期間が延びることも知られている。
感染研と全国地方衛生研究所のサーベイランスによると、18/19シーズンのA(H3N2)におけるバロキサビル耐性率は12日現在24.7%。ほとんどが12歳未満の患者から検出されているという。