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皮弁血行解剖に関する最近の知見

No.4954 (2019年04月06日発行) P.48

安倍吉郎 (徳島大学形成外科・美容外科准教授)

橋本一郎 (徳島大学形成外科・美容外科教授)

登録日: 2019-04-07

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【皮弁内の微細な血行解剖が発展し,犠牲の少ない皮弁採取が可能になった】

形成外科領域では身体各所に様々な皮弁を作成し,がんや外傷などによる組織欠損を充塡・被覆している。近年では筋皮弁や筋膜皮弁に加え,血管径が1mm以下で皮膚を直接栄養する穿通枝血管の存在が注目されている。穿通枝血管を含めれば,筋肉や筋膜を含めなくても広範な皮弁が生着することがわかり,より犠牲の少ない皮弁手術が可能になった1)。しかし,皮弁内の微細な血管の分布や血行動態がわからなければ,安全な皮弁挙上が難しいことには変わりがない。

最近では,Saint-Cyrらが1本の穿通枝で栄養される皮膚の血行領域をperforasomeと定義した2)。さらに,各穿通枝を連結する微細な血管をlinking vesselと表現し,これらの一部は真皮下血管網を通じて間接的に隣接する穿通枝のperforasomeとつながっているものもある。linking vesselは身体各所でその分布や方向性がある程度決まっている。たとえば,四肢では長軸方向に走行しているが関節を跨ぐものは少なく,体幹では主に側方に向かって走行し,一部は正中を越えて反対側まで達するものも認める。これら穿通枝の位置とperforasomeおよびlinking vesselを明らかにすることで,欠損に近接する部位に皮弁をデザインする,あるいは採取後の瘢痕が目立たない部位から皮弁を採取する,といった多彩な皮弁手術が,主要な血管を犠牲にすることなく可能になる。

【文献】

1) Koshima I, et al:Clin Plast Surg. 2010;37(4): 683-9.

2) Saint-Cyr M, et al:Plast Reconstr Surg. 2009; 124(5):1529-44.

【解説】

安倍吉郎*1,橋本一郎*2  徳島大学形成外科・美容外科 *1准教授 *2教授

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