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術中光干渉断層計(OCT)を用いた硝子体手術

No.4954 (2019年04月06日発行) P.49

西塚弘一 (山形大学眼科准教授)

登録日: 2019-04-08

最終更新日: 2019-04-02

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【生体断層検査を行いながら顕微鏡手術が可能となった】

光干渉断層計(optical coherence tomography:OCT)は,近赤外線レーザーを用いた非侵襲性の断層画像診断装置であり,CTやMRIの登場と同様のインパクトを眼科臨床にもたらした。

OCTは網膜の構造をμmオーダーの解像度で撮影することができ,黄斑円孔,黄斑前膜,加齢黄斑変性などの黄斑疾患の診断や治療効果の判定に欠かせないものとなっている。さらに,近年登場した手術顕微鏡一体型のOCT(術中OCT)は,手術中に術野のOCT撮影を可能とし,網膜硝子体手術の新しいスタイルの一役を担う機器となっている1)。難易度の高い増殖糖尿病網膜症の手術では,術中OCT所見が処理すべき増殖膜と傷つけてはいけない網膜の判別の一助となり,術中判断時間が短縮されて安全な手術が可能となった。

裂孔原性網膜剝離の病態である網膜の裂孔や硝子体の牽引は眼底の周辺部に位置し,通常のOCTによる評価が困難であった。そこで筆者らは,眼球圧迫を併用した術中OCTによる周辺部網膜硝子体の観察法を確立し2)〜4),周辺部の硝子体や網膜の構造をOCTにて撮影することに成功した。手術中に得られるOCTの所見は病態そのものであり,今後新たな病態解明の糸口がつかめることに期待したい。

【文献】

1) 西塚弘一:眼科グラフィック. 2016;5(6):557-61.

2) Nishitsuka K, et al:Retina. 2018;38(3):e20-2.

3) 西塚弘一:眼科グラフィック. 2017;6(6):550-4.

4) 西塚弘一:臨眼. 2017;71(13):1818-24.

【解説】

西塚弘一 山形大学眼科准教授

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