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妊娠中のトキソプラズマ感染症の対応と管理法は?

No.4954 (2019年04月06日発行) P.52

中田雅彦 (東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学講座教授)

青木 茂 (横浜市立大学附属市民総合医療センター総合周産期母子医療センター准教授)

登録日: 2019-04-04

最終更新日: 2019-04-02

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  • 妊娠中のトキソプラズマ感染症について世間でも話題になっています。妊娠中の診断や管理法についてお教え下さい。
    横浜市立大学附属市民総合医療センター・青木 茂先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    中田雅彦 東邦大学大学院医学研究科産科婦人科学講座教授


    【回答】

    【偽陽性を除外した上で,スピラマイシンによる治療を分娩まで行う】

    2018年8月から先天性トキソプラズマ症の発症予防に対してスピラマイシンが保険適用になりました。しかし,わが国では先天性トキソプラズマ感染症を予防する有効なスクリーニング方法がいまだ確立されていないこと,感染時期を推定するIgG avidity(抗体結合力)の測定検査が研究用検査という位置づけであること,日本人妊婦のトキソプラズマ抗体保有率が5%程度と低いことなどから,トキソプラズマ感染に対する全妊婦対象のuniversal screeningまでは推奨されていません。

    一方で,50%程度の分娩施設がトキソプラズマ感染のuniversal screeningを行っているのが現状です。ほとんどの妊婦が抗トキソプラズマ抗体(IgG)陰性なわけですが,トキソプラズマ抗体陰性妊婦に対して妊娠中に初感染を起こさないよう注意喚起をするという意味において,トキソプラズマ感染症のuniversal screeningは有効です。したがって,universal screeningを行う限りは,トキソプラズマ抗体陰性妊婦に対して採血結果を説明するだけでなく,妊娠中にトキソプラズマ感染を予防するための教育,啓発を行うことが求められます。

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