ターナー症候群(Turner syndrome:TS)は,低身長,原発性性腺機能低下症,特徴的な身体所見(Turner徴候)などの症状を呈する症候群である。X染色体の1本または一部が欠失しているために生じる染色体異常症で,出生女児約2000人に1人の割合でみられ,頻度は高いが表現型のバリエーションが広い疾患である。各ライフステージに応じた集学的ケアが重要とされ,診療ガイドラインが公表されている1)。
身体徴候として9割以上で低身長を有する他にTurner徴候(高口蓋,小顎,翼状頸,毛髪線低位,楯状胸,外反肘,爪の低形成,第4中手骨の短縮,母斑など)がみられるが,年齢による変化や個人差,重症度の差が大きい。
原発性性腺機能低下や,耳鼻科疾患(反復性中耳炎・難聴),心血管系の異常(大動脈二尖弁,大動脈縮窄症など),腎・尿路系の形態異常,自己免疫疾患(特に甲状腺疾患),骨格系の異常(先天性股関節脱臼,脊柱側弯症など),高血圧,糖・脂質代謝異常などを合併する。これらの症状はリンパ管形成遺伝子およびSHOX遺伝子(short stature homeobox containing gene)の欠失,染色体不均衡,減数分裂時の染色体対合不全によるものと推定されている。
染色体検査:末梢血リンパ球を用いたG分染法によってX染色体の1本または一部(特に短腕遠位部)の欠失を認め確定される。TSが強く疑われるにもかかわらず,正常核型であった場合は解析細胞数を増やすか,そのほかの組織(頬粘膜など)での検査も検討する。TSの確定診断後は上記の内臓系疾患を念頭にスクリーニング検査を行う。
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