日本医師会は22日、会内の「外国人医療対策委員会」がまとめた中間答申を公表した。訪日旅行客など外国人患者の診療でしばしば問題となる未払い医療費(未収金)と医療通訳にかかる費用に関して、公的補助による医療機関への支援の仕組みを検討するよう提言している。
未収金対策では、医師自らが治療を提供する前に費用と支払い方法について説明し、合意を取ることが必要としている。ただ、緊急重篤な患者に事前合意を取ることは事実上不可能となる。
中間答申では、公的補助を中心とした基金などの仕組みにより、訪日外国人が加入する旅行保険の適用外となる医療行為(分娩など)が未収金となった場合の医療機関のリスクを軽減できると期待を示している。一方で、外国人患者が加入している保険が償還払いだった場合は、その場で支払われないため未収となるリスクが残るといった課題も指摘している。
医療通訳の確保にかかる費用など診療費以外の追加コストについては、保険診療においても患者に請求できる。しかし、厚生労働省が2018年秋に実施した調査では、訪日外国人旅行者に対して通訳料を追加請求している病院は約1%にとどまっていた。
中間答申では、保険診療の自己負担に比べて高額になる通訳料の請求は事実上困難であるとした上で「負担に耐えられる規模の医療機関だけが外国人に対し医療を提供できることになる」と問題視。外国人患者に対応できる医療機関を増やすため、医療通訳にかかる費用についても公的な補助を検討すべきとしている。