一過性脳虚血発作(transient ischemic attack:TIA)は脳梗塞と同じメカニズムで生じ,心原性(特に心房細動),アテローム血栓性(特に頸動脈狭窄症),ラクナの機序がある。発症後早期(48時間以内)の脳卒中発症リスクが高く,厳格に危険因子を管理した上で病型に応じた抗血栓薬を投与する。
TIAの典型的な症状は,片側の運動障害,視力・視野障害,言語障害であり,通常数分~30分以内に症状が回復する。受診時に神経症候が残っていることは稀で,病歴聴取が診断の鍵を握る。発症様式,経過,随伴症状について具体例を挙げながら問診していくことが最も大切である。頭部MRI拡散強調画像は必須であり,発作時の症候に合致する責任血管領域の新規病変は診断を強く支持する。TIAのメカニズムとして塞栓再開通が最頻であるため,塞栓源心疾患(心房細動,右左シャントなど)や血管病変(大動脈粥腫,頸動脈狭窄,頭蓋内狭窄など)を検索する。
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