勤務医に対する時間外労働上限規制の適用(2024年4月)に向け、医師から他職種へのタスクシフティング(業務移管)が求められる中、厚生労働省は17日、医療関係職種の職能団体と学会から、現状と課題について第1回目のヒアリングを実施した。フィジシャン・アシスタント(PA)など新職種の創設を巡っては、日本医師会は反対の立場を表明したが、日本脳神経外科学会は肯定的な意見が会内に多いと紹介した。
日医の今村聡副会長は「若年人口が減少する中でこれ以上の医療関係職種の確保は困難。既に認められている業務の周知徹底を図り、現行法解釈の下でも実施可能な業務について精査し、それらが実践されていない場合は着実な検証を行うべき」などと述べ、業務移管の問題を新職種の創設で解決すべきでないとの考えを明確にした。また、業務を移管される側の職種、特に看護師の激務化を防ぐため、准看護師の養成を強化するなどの支援策が必要だとした。
脳神経外科学会の新井一理事長は、脳卒中の血管内治療の介助や初期対応(病歴聴取など)について「現行法では認められていないが、特定行為として研修を必須化すれば看護師に移管が可能」との見方を示した。PAなどの新職種については直接賛否を言明しなかったが、厚労省の吉田学医政局長から「会内にPAへの懸念の声はないのか」と問われると、「現場では歓迎する声が多い」と回答。ただし、PAを積極的に導入しすぎると、若手医師の手術・手技の習熟への影響が考えられることも付け加えた。