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多発性硬化症の2017年版McDonald診断基準改訂のポイントは?

No.4973 (2019年08月17日発行) P.58

清水優子 (東京女子医科大学脳神経内科特命担当教授)

越智博文 (愛媛大学大学院医学系研究科 老年・神経・総合診療内科学准教授)

登録日: 2019-08-14

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  • 多発性硬化症(multiple sclerosis:MS)の2017年版McDonald診断基準について,改訂のポイントをわかりやすく教えて下さい。愛媛大学・越智博文先生にご解説をお願いします。

    【質問者】

    清水優子 東京女子医科大学脳神経内科特命担当教授


    【回答】

    【症候性病変,皮質病変,脳脊髄液オリゴクローナルバンドの取り扱いが変更となった】

    MSは中枢神経系の炎症性脱髄疾患です。脱髄病変が空間的多発性(dissemination in space:DIS)と時間的多発性(dissemination in time:DIT)を示すことから,再発と寛解を繰り返すことを特徴とします。このような病型は再発寛解型と呼ばれますが,発症時から明らかな再発を伴わずに慢性進行性の経過をとるものもあります。この場合は,一次性進行型として区別されます。

    従来,MS,特に再発寛解型の臨床診断は,DISとDITを示す中枢神経症候があり,鑑別診断によってそれらがMS以外の疾患によらない炎症性脱髄病変に基づく症候であることを確認することで行われてきました。しかし,MRIがMSの中枢神経病変を鋭敏に検出できることから,DISとDITを証明するためのMRI基準を取り入れた診断基準が作成されました。これがいわゆるMcDonald診断基準で,現在,世界で最も汎用されている診断基準です。2001年に初版が発表されて以降,診断の特異度を損なうことなく早期に感度良くMS診断ができるように3回の改訂が行われ,最新のものは2017年版です1)

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