【質問者】
永竿智久 香川大学医学部形成外科・美容外科教授
【他分野と協力していくことで,微小血管吻合技術のニーズはさらに高まっていく】
微小血管吻合技術(マイクロサージャリー)による遊離組織移植は,1970年代にDaniel&TaylorやHariiらにより初めて報告されて以来,皮膚,脂肪,筋肉,骨,神経,腸管など様々な組織の移植に応用され,現在では乳房再建,四肢外傷,頭頸部癌などの再建に幅広く用いられており,皮弁生着率も95%以上と安全性も飛躍的に高まりました。このように現在では普及した組織移植ですが,将来的には新分野への応用が期待できます。
まず,短期的な観点からは,同種複合組織移植が挙げられます。同種複合組織移植とは,脳死患者から顔面,手,喉頭,腹壁,陰茎といった組織を移植する方法で,従来の再建手術では治療困難だった欠損の治療も可能となります。海外では,手移植などは既に症例の蓄積が進み,一般的な手術法として確立しつつありますが,わが国ではまだ行われていません。法整備や社会的認知の進展が求められるとともに,新たな組織移植の開発が期待されます。
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