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オウム病[私の治療]

No.4977 (2019年09月14日発行) P.60

宮下修行 (関西医科大学内科学第一講座呼吸器感染症・アレルギー科教授)

尾形 誠 (関西医科大学内科学第一講座呼吸器感染症・アレルギー科講師)

福田直樹 (関西医科大学内科学第一講座呼吸器感染症・アレルギー科)

登録日: 2019-09-13

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  • オウム病は,罹患したトリの分泌物や乾燥した排泄物中のChlamydophila psittaciを吸入して引き起こされる呼吸器感染症である。推定感染源としてはインコに関連したものが最も多く,ついでハトに関連したもの,オウムに関連したものである。トリでは保菌していてもほとんどは外見上健常である。不定期に便中や分泌物中に菌を排泄するが,産卵期や雛を育てる期間などでストレスが加わったとき,他の感染症を合併したときなどには,より大量にC. psittaciを排泄しヒトへの感染源となる。感染経路は,罹患したトリの分泌物や乾燥した排泄物,羽毛などを介して菌を経気道的に吸入したり,口移しで餌を与えたりする際の経口感染によって起こる。発症年齢は50~60歳代に多く,30歳以上が全体の80%以上を占めている。発症日を月別にみると,鳥類の繁殖期である4~6月に多いほか,1~3月もやや多い傾向にある。

    ▶診断のポイント

    最も重要な診断のポイントは,トリとの接触歴や飼育歴を詳細に問診することである。飼育鳥が死んでいる場合は,特に疑いが濃くなる。多くは1~2週間の潜伏期間を経て,突然の発熱(悪寒を伴う高熱),咳,頭痛,筋肉痛,全身倦怠感などのインフルエンザ様症状が出現する。特異的な所見ではないが,時に比較的徐脈を認めることがある。

    ▶私の治療方針・処方の組み立て方

    治療に際し重要なことは,抗菌薬が細胞内に十分移行することである。β-ラクタム系抗菌薬は細胞内移行がきわめて低く,その標的とする細胞壁をクラミジア属は有さないため,抗クラミジア活性をまったく示さない(表)。同様に,アミノグリコシド系抗菌薬も細胞内移行が低く,抗クラミジア活性を有さない。
    細胞内への移行性が良好かつクラミジアの強い増殖抑制を示す薬剤には,テトラサイクリン系抗菌薬,マクロライド系抗菌薬,ニューキノロン系抗菌薬およびケトライド系抗菌薬などがある。

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