1 わが国初のClostridioides(Clostridium)difficile感染症(CDI)診療ガイドライン
2 適切な検体採取と遺伝子検査の活用
3 抗CDI薬の選択
4 再発抑制薬(ベズロトクスマブ),予防薬(プロバイオティクス)の活用
5 CDI患者には接触予防策を実施
Clostridioides(Clostridium)difficile感染症(CDI)は,医療関連感染として多くみられる嫌気性菌感染症である。2016年に“Clostridium difficile”は“Clostridioides difficile”に名称を変更されている。特に欧米ではPCRリボタイプ027株や078などのトキシン産生性の高い強毒株があり,医療関連感染症だけでなく市中感染症としても多くみられる。一方,わが国では強毒株によるCDIの報告は少ない。患者の予後に大きく関わるとともに,芽胞を形成するためアルコール耐性で,院内伝播しうる感染症として大きな問題となっている。わが国でも従来のICTによる感染制御活動に加え,近年,antimicrobial stewardship team(AST)が活動しており,その効果の1つとしてCDIの低減が期待されている。
このような中,わが国でのCDI診療の現状を考慮して,日本化学療法学会・日本感染症学会によるガイドラインが刊行された1)。本ガイドラインは,C. difficile検査と治療のフローチャート,総論およびクリニカルクエスチョン,薬剤情報で構成される。
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