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がん患者におけるせん妄ガイドライン2019年版[ガイドライン ココだけおさえる]

No.4983 (2019年10月26日発行) P.36

明智龍男 (名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学教授)

登録日: 2019-10-25

最終更新日: 2019-10-23

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  • 執筆:明智龍男(名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学教授)

    主なポイント〜どのようなガイドラインなのか

    1 総論:がん患者のせん妄に標的を絞った初めてのガイドライン

    2 CQ2:がん患者のせん妄の原因

    3 CQ3:抗精神病薬投与の有用性

    4 CQ6:オピオイドスイッチング

    5 CQ8:終末期せん妄に対するアプローチ

    1 総論:がん患者のせん妄に標的を絞った初めてのガイドライン

    せん妄は,軽度から中等度の意識混濁に,幻覚,妄想,興奮など様々な精神症状を伴う特殊な意識障害である。もともと脳の機能障害をきたしやすい高齢者に多いのが特徴であり,身体状態が重篤な進行・終末期のがん患者のほか,集中治療室(intensive care unit:ICU)入室患者や侵襲の高い術後患者などに頻度が高い。

    がん患者の場合,一般的には身体疾患の進行に伴い頻度が高くなり,入院を要する終末期では30~40%,死亡直前では80~90%に認められる。せん妄は近年推進されている在宅療養を継続する上での大きな障害となっていることが示唆されている。

    本稿では,日本サイコオンコロジー学会と日本がんサポーティブケア学会が中心となり編集した,「がん患者におけるせん妄ガイドライン2019年版」の一部を紹介した。本ガイドラインの目的は,がん医療に携わる医療者を広く対象として,がん患者におけるせん妄について,その最新の知見を総括した上で,評価と標準的対応を示すことである。

    残り3,390文字あります

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