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プライマリ・ケアで診る運動器疾患〈膝関節〉─運動器疾患に対する超音波診断装置の活用

No.4987 (2019年11月23日発行) P.8

黒谷一志 (隠岐広域連合立隠岐島前病院)

登録日: 2019-11-21

最終更新日: 2019-11-20

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KEYWORD
運動器超音波診療
運動器疾患において,超音波診断装置は,X線では評価の難しい靱帯,腱などの軟部組織の描出に優れる。また,無侵襲でリアルタイムな診療も可能となる。

SUMMARY
プライマリ・ケアの現場において,膝の痛みはよく遭遇する訴えである。膝痛に対し,超音波診断装置を活用することで,鎮痛薬・貼付薬の処方と安静指示からもう一歩踏み込んだ診療を行うための一助となる。

黒谷一志(隠岐広域連合立隠岐島前病院)

PROFILE
2005年自治医科大学卒業。島根県立中央病院での初期臨床研修を経て,島根県内の地域医療機関で勤務。2016年4月から東埼玉病院で在宅医療に従事した後,2018年4月から隠岐島前病院で総合診療医として勤務している。

POLICY・座右の銘
焦らず,急がず


1 背景

隠岐島前病院のある島根県隠岐郡西ノ島町は,島根半島の北東約40~80kmにある隠岐諸島の,有人島4つの中の1つである。有人島の1つは島後(どうご)と呼ばれる隠岐の島町,残り3つの西ノ島町,海士町,知夫村を併せて島前(どうぜん)と呼ぶ。隠岐島前病院は島前唯一の入院施設のある医療機関で,総合診療医7人が勤務している。常勤の整形外科医はおらず,運動器疾患も総合診療医が診察する。専門的な知識,技術では整形外科専門医に及ばないが,それを補うために活用しているのが超音波診断装置(以下,エコー)である。

プライマリ・ケアの現場において,「膝が痛い」という訴えはよく遭遇する。「平成28年国民生活基礎調査」によると「手足の関節が痛む」という訴えは,女性で第3位,男性で第5位に入っている。膝痛の患者が受診したとき,もしくは定期通院中の患者が膝痛を訴えたとき,鎮痛薬・貼付薬の処方と安静指示からもう一歩踏み込むための,エコーを使用した診療方法を紹介したい。

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