多発ニューロパチーは四肢の末梢神経が両側・対称性に障害される疾患の総称であり,四肢遠位部優位の運動・感覚障害をきたす。病因(原疾患)は多岐にわたるが,糖尿病,アルコール性(ビタミン欠乏を含む),化学療法による薬剤性が最も頻度の高い病因としての三大疾患である。
多発ニューロパチーとは,四肢の末梢神経が両側・対称性に障害される疾患の総称である。症状としては,四肢遠位部優位の運動・感覚障害をきたす。四肢腱反射の低下~消失が認められる。
治療は,原因疾患に対する特異的治療と神経障害性疼痛に対する対症療法に大別される。上記三大疾患(糖尿病性,アルコール性,化学療法による薬剤性)のほかの病因として,炎症・免疫介在性(ギラン・バレー症候群,慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー),代謝性(腎不全,原発性アミロイドーシス),中毒性(ノルマルヘキサン,鉛,有機水銀),遺伝性(Charcot-Marie-Tooth病,家族性アミロイドニューロパチー,ファブリー病,ポルフィリン症),傍腫瘍性(特に肺小細胞癌),感染性(ハンセン病,ジフテリア)などを鑑別していく。原因疾患に応じてそれぞれに特異的な,代謝異常の是正,原因物質の除去,原因薬物の減量・中止,免疫学的治療を行う。
原因疾患を問わず,感覚過敏による神経障害性疼痛は主訴になることが多いため,対症療法を要する。
治療は,原因疾患に対する治療と,神経障害性疼痛・しびれに対する対症療法が主体となる。末梢神経再生を促進するエビデンスのある薬物療法はないが,上手く原疾患のコントロールが行えれば,生体治癒力による末梢神経再生・再支配による症状改善が得られることがある(免疫介在性ニューロパチーの治療については別稿を参照)。
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