つつが虫病はOrientia tsutsugamushiを原因菌とするリケッチア症であり,ダニの一種ツツガムシ(アカツツガムシ,タテツツガムシ,フトゲツツガムシ)に刺咬されて感染する1)。発症時期はツツガムシの活動期に一致し,春~初夏(アカツツガムシ),秋~初冬(タテツツガムシ,フトゲツツガムシ)に多い。潜伏期は5~14日(平均10日)で発疹,発熱,刺し口が3主徴である。重症例では播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation:DIC)による出血傾向,急性呼吸窮迫症候群(acute respiratory distress syndrome:ARDS),血球貪食症候群(hemophagocytic syndrome:HPS)などを呈する。感染症法の4類感染症である2)。
刺し口や皮疹が特徴的である。ただし,必ず刺し口などが見つかるわけではない。また,野外での活動歴などの病歴の聴取が重要となる。確定診断は主に間接蛍光抗体法などによる血清診断で行われる。ほかにも,血液や痂疲部分などを用いた遺伝子検査(polymerase chain reaction:PCR)で診断可能である。
治療には,早期に本症を疑い,適切な抗菌薬を投与することがきわめて重要である。第一選択薬はテトラサイクリン系薬である。使用できない場合はクロラムフェニコールを用いる。マクロライド系薬も有効である。細胞内寄生菌であるため,βラクタム系薬は無効である。なお,ニューキノロン系薬も比較的効果が乏しいとされているため,注意する。
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