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咽頭癌の内視鏡手術後の咽頭狭窄予防について

No.5001 (2020年02月29日発行) P.55

小澤宏之 (慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室専任講師)

渡部佳弘 (東京都済生会中央病院耳鼻咽喉科頭頸部外科副医長)

登録日: 2020-03-02

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  • 近年,早期の咽頭癌が多く見つかり内視鏡下で治療できるようになりました。一方で再発例・多発例も多く,切除を繰り返すことで咽頭が狭くなり嚥下機能の低下のおそれがあります。内視鏡手術後の咽頭狭窄予防について,東京都済生会中央病院・渡部佳弘先生にご回答をお願いします。

    【質問者】

    小澤宏之 慶應義塾大学医学部耳鼻咽喉科学教室専任講師


    【回答】

    【トリアムシノロンアセトニド局所注射は咽頭狭窄予防に有用である】

    近年,咽喉頭表在癌は消化器内視鏡の高画質化と画像強調観察によって診断件数が増加しています1)2)。一方,食道領域では,拡大内視鏡診断技術の進歩により腫瘍の深達度を推定し,内視鏡的切除(endoscopic mucosal resection:EMR,endoscopic submucosal dissection:ESD)などの治療適応を決定する方針が確立されつつあります3)。そして,咽喉頭表在癌に対しても,拡大内視鏡観察が有用との報告もあり4),経口的咽喉頭部分切除(endoscopic leryngo pharyngo surgery:ELPS,trans oral videolaryngoscopic surgery:TOVS)が多く行われるようになりました。

    しかし,ELPS,TOVSでは,術後の粘膜欠損層の治癒に伴う瘢痕化による咽頭狭窄のリスクが懸念されます。さらに,咽喉頭表在癌患者はアルコール多飲であることが多く,食道表在癌も含めた重複癌や再発をきたすことが多く5),経口的切除が繰り返し行われることもたびたび経験します。

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