【ベンゾジアゼピン系睡眠薬の中止,ラメルテオン等の服用により発症を抑制】
せん妄が認知症の強力なリスク要因となることが調査から明らかになり1),その治療法に関心が高まっている。意識障害を基盤に発生するせん妄は,入院期間の延長やコストの増大をもたらすと同時に,せん妄患者やその介護者の強い苦痛の要因となりうる2)。
新しいメラトニン受容体アゴニストであるラメルテオン(ロゼレム®)がせん妄を予防する結果が報告された3)。ベンゾジアゼピン系睡眠薬はせん妄のリスクとなることから,入院後に同薬を停止し,予防的にラメルテオンやオレキシン受容体拮抗薬であるスボレキサント(ベルソムラ®)を適用外使用であることを伝えた上で服用してもらう。これによってハイリスク患者である認知症を有する高齢者や,脳外科や大動脈解離などの緊急手術,聴・視覚障害患者におけるせん妄発生を抑制する。
点滴ルートや尿道カテーテルの整理に加えて,日中に日光を浴びさせリズムを付けさせる介入法が有効であることは,依然重要な点である。
【文献】
1) Davis DH, et al:Brain. 2012;135(Pt9):2809–16.
2) Bruera E, et al:Cancer. 2009;115(9):2004–12.
3) Hatta K, et al:JAMA Psychiatry. 2014;71(4): 397-403.
【解説】
豐田勝孝,金沢徹文* 大阪医科大学神経精神医学 *講師