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HIV感染者におけるニューモシスチス肺炎治療のステロイド使用法は?

No.5008 (2020年04月18日発行) P.57

上村 悠 (国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター)

柴田 怜 (新潟大学医歯学総合病院呼吸器・感染症内科)

登録日: 2020-04-16

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  • 感染診療においてステロイドが治療に必要な病態は限られていますが,ニューモシスチス肺炎はそのひとつです。いわゆる「いきなりエイズ」の患者はわが国において依然存在しますが,HIV感染症診断のきっかけとなることが比較的多いニューモシスチス肺炎診療のコツを,治療のkeyのひとつであるステロイドの使用法を中心にご教示下さい。
    新潟大学・柴田 怜先生に回答をお願いします。

    【質問者】

    上村 悠 国立国際医療研究センター エイズ治療・研究開発センター


    【回答】

    【中等症以上のHIV-PCPに対して,72時間以内の早期併用が推奨される】

    ヒト免疫不全ウイルス(human immunodeficiency virus:HIV)感染症は多剤併用療法の出現により,その予後は劇的に改善しました。一方で,HIV感染症の進行により,日和見感染症であるニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii pneumonia:PCP)を発症する症例はわが国においてもいまだ多く存在します。

    米国疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)ガイドラインでは,中等症以上のHIV感染症合併PCP(HIV-PCP)の症例(室内気でのA-aDO2≧35mmHgまたはPaO2<70)に対して,ST合剤を含む抗微生物薬に副腎皮質ステロイドを併用することを推奨しています1)

    HIV-PCPに対して副腎皮質ステロイドを併用する根拠は少数のランダム化比較試験(randomized controlled trial:RCT)に基づくものです2)。6つのRCTを対象としたシステマティック・レビューにおいて,中等症以上のHIV-PCPに対する副腎皮質ステロイド併用群とプラセボ群を比較した結果,1カ月後の死亡リスクは0.56〔95%信頼区間(confidence interval:CI):0.32~0.98〕,3~4カ月後の死亡リスクは0.58(95%CI:0.41~0.85),1カ月後の人工呼吸器リスクは0.38(95%CI:0.20~0.73)であり,副腎皮質ステロイド併用の有用性が示されています3)

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