ギリアド・サイエンシズ米国本社は4月23日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)治療薬として開発中の抗ウイルス薬レムデシビルについて、重症患者を対象とした非盲検試験結果を4月末に、中等症患者を対象として標準治療と比較した非盲検試験結果を5月末に発表する予定であることを明らかにした。
レムデシビルは、エボラウイルス、マールブルグウイルス、MERSウイルス、SARSウイルスなど多種類の新興感染症病原体に対し、in vitroと動物モデルを用いた試験で広範な抗ウイルス活性が認められている、開発中の核酸アナログ。COVID-19の原因となるSARS-CoV-2ウイルスは、MERSやSARSの原因となるウイルス病原体と構造的に類似しているため、COVID-19への効果が期待されている。
中等度・重度のCOVID-19患者を対象にレムデシビルの安全性・有効性を評価する国際共同第Ⅲ相臨床試験には日本も参加。4月14日から国内の複数の医療機関でレムデシビルの投与が開始されている。
治験実施施設の1つ、横浜市立市民病院感染症内科の立川夏夫医師は「治療の確立は感染者の健康回復のみならず、“treatment as prevention”として新型コロナ感染症の蔓延への重要な対策にもなる。臨床試験でレムデシビルの効果を明確にすることは、新型コロナ感染症対策において最も重要な研究の1つ」とコメントしている。
日本も参加している国際共同第Ⅲ相臨床試験の概要
重症COVID-19患者へのレムデシビル静脈内投与と中等症COVID-19患者への標準治療+レムデシビル静脈内投与の安全性・有効性を評価。第1段階では感染拡大国の入院患者約1000人を対象とする予定