中外製薬は4月8日、新型コロナウイルス肺炎(COVID-19肺炎)治療薬としての承認取得に向け、抗IL-6受容体抗体「アクテムラ」(一般名:トシリズマブ)の国内治験(国内第Ⅲ相臨床試験)を実施すると発表した。治験の対象は国内の重症COVID-19肺炎の入院患者。中外製薬は「今後試験の詳細を確定の上、速やかな患者登録の開始を目指す」としている。
アクテムラは中外製薬が創製した国産初の抗体医薬品。炎症性サイトカインの一種IL-6の作用を阻害する働きを持ち、国内では関節リウマチ、キャッスルマン病などの治療薬として承認されている。海外では、重症COVID-19肺炎患者約330例を対象に「アクテムラと標準的な医療措置の併用」の安全性・有効性を評価する第Ⅲ相臨床試験の開始を親会社のロシュ(スイス)が発表している。
重症COVID-19肺炎へのアクテムラの効果についてはノーベル医学生理学賞受賞者の本庶佑京大特別教授も期待を寄せており、4月6日と16日に発表したCOVID-19対策の緊急提言で、重症肺炎時の炎症反応暴走時へのトシリズマブ(アクテムラ)の使用や効果検証を求めている。
本庶佑京大特別教授の緊急提言
【4月6日】急性期には「アビガン」等、重症肺炎時の炎症反応の暴走時にはトシリズマブ等を実地導入する
【4月16日】「アクテムラ」の効果検定等、免疫不全による重症化を防ぎ死者を出さない治療法の早期確立