新型コロナウイルス感染症の流行で院内感染対策のさらなる徹底が求められる医療現場のニーズに応えるため、総合建設機械レンタル業の株式会社アクティオ(本社:東京都中央区日本橋)は、診察室としてすぐに利用できる「仮設陰圧ハウス」を開発、4月下旬よりレンタルを開始した。担当の東 盛之さん(アクティオEG事業部 環境部 部長)の話をもとに、仮設陰圧ハウスの開発経緯・特徴について紹介する。
アクティオが仮設陰圧ハウスの開発を決めたのは2020年3月。国内での新型コロナウイルス感染拡大が深刻化する中、同社の持つ技術・ノウハウを活かして貢献できることはないかと考え、ユニットハウスに改良を加えた仮設陰圧ハウスの開発を進めた。
「当社がウイルス対策商品を開発したのはこれが初めてです。これまでも地震・台風などの災害に対して貢献してきた経験がありますので、今回も何かお役に立てることはないかと社内で議論し、開発が決まりました」(東さん)
仮設陰圧ハウスは、主に、ウイルス感染が疑われる患者に対応する診察室として利用することを想定。そのため、開発においては、ウイルスの外部流出を防ぎつつ、室内の空気をクリーンな状態に保つことを重視した。
常に洗浄された空気を循環させるために導入したのが、病院でも使用されている「抗ウイルスHEPAフィルター」を内蔵した換気装置だ。
抗ウイルスHEPAフィルターは、コロナウイルス、インフルエンザウイルスなどのエンベロープを酵素によって破壊し、ウイルスを不活化させるため、エンベロープウイルスである新型コロナウイルスも不活化できるとされている。
診察室に入る前の前室には食品工場などで使用されているエアーシャワーを設置。ここで外来患者などの身体に付着したウイルスや埃を払い落とす。
ただし、室内での感染リスクはこれで完全に防止できるわけではない。感染が疑われる患者に対応する際に接触感染や飛沫感染のリスクはあるため、アクティオは「防護服、マスクなどの着用や適時消毒は必要」 (東さん)としている。
仮設陰圧ハウスのもう1つの大きな特徴は、ほとんどの設備を内蔵した状態で納品されるため、現地での組立などは不要で、すぐに使用できること。
「ベッドや前室のエアーシャワーを設置するには3.8坪がギリギリのサイズということで、3.8坪ハウスを標準の仕様にしました。5.0坪ハウスなど要望に合わせてハウスの広さを調整できますので、お気軽にご相談いただければと思います」(東さん)
各地域で院内感染対策の徹底が求められる中、敷地の広さに応じてサイズ調整が可能な陰圧ハウスのレンタル利用はニーズが高まることが予想される。患者・スタッフの感染リスクを限りなく低減できる診察室や検査室がすぐに必要というとき、レンタルという手段も検討してはいかがだろうか。