政府は7月17日、「経済財政運営と改革の基本方針2020(骨太の方針2020)」を閣議決定した。原案にはなかった中間年の薬価調査・改定に関する記載を追加。「本年度の薬価調査を踏まえて行う21年度の薬価改定については、骨太方針2018等の内容に新型コロナウイルス感染症による影響も勘案して、十分に検討し、決定する」とした。
新型コロナウイルス感染症と共存する「新たな日常」の実現に向け、骨太方針は、デジタル化への集中投資・実践と、その環境整備を今後の施策の柱に据えた。医療分野では、厚生労働省が進める「データヘルス集中改革プラン」の内容を反映させ、「PHR(パーソナル・ヘルス・レコード)の拡充を図るため、21年に必要な法制上の対応を行い、22年を目途にマイナンバーカードを活用して、生まれてから職場等、生涯にわたる健康データを一覧性をもって提供できるように取り組む」と記載した。
今後2年間で段階的に推進する方針で、21年3月から始まるオンライン資格確認のプラットフォームを活用して患者の保健医療情報を本人や全国の医療機関が閲覧できるシステムを構築。20年度中に特定健診情報の閲覧を可能にし、その後、レセプトに基づく薬剤情報を21年度中に、手術などの情報を22年度中に追加するスケジュールを示した。
オンライン診療については、新型コロナウイルス感染症対応で実施中の時限的特例措置の効果や課題の検証や、実施に際しての適切なルールの検討を行う方針を打ち出した。「新たな日常」に対応した予防・健康づくりとして、オンラインでの健康相談の活用を推進する考えも示した。
医療提供体制の整備では、感染の第2波に備え、都道府県が医療機関間での医療従事者協力を調整できる仕組みや、都道府県間を超えた病床や医療機器の利用、医療関係者の配置などを厚生労働大臣が調整する仕組みを構築する。新型コロナウイルス感染拡大の影響が懸念される医療機関経営にも言及。「患者が安心して医療を受けられるよう、引き続き、医療機関・薬局の経営状況等も把握し、必要な対応を検討し、実施する」との記載を盛り込んだ。
介護関係では、ケアプランへのAI活用や、介護ロボットの導入などを通じた生産性向上に重点的に取り組み、「次期介護報酬改定で人員配置の見直しも含め後押しすることを検討する」とした。